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インタビュー

元お笑い芸人を「成果が出せるビジネスマン」に育てた上司がしたことは? 〜事例①元上司:足立裕亮さんの場合〜

お笑い芸人としての経験は意外な価値発揮につながる


 

足立裕亮(あだちひろあき)

あなたの価値を最大化し、お金に変えるコンサルタント
経営者・ビジネスパーソン・著者など7,000名以上の相談を受ける。才能を活かしてミッションに生きている幸福感と、自分ならではの価値提供し、結果を出すための学びを伝えていくことで、自律した人をつくることに注力している。

※中北の最初の上司

ー 本日はどうぞよろしくお願いいたします。さっそくですが、中北さんの最初の印象はどんな感じでしたか?

足立さん(以下、敬称略):当時、中途採用の最終面接が食事会という形で実施されており、他のメンバーと共に私もそこに立ち会ったのが、一番最初の出会いでした。実は、その時私は、中北の採用にNGを出しました。というのも、中北がどんな想いを持った人なのか、なかなか伝わりにくい人だなぁと感じたからです。人材育成の会社ということもあり、採用する上でも、一緒に仕事をする上でも、どんな想いの人なのかを重視する傾向がある中、入社してからうまく周りの人とやっていけるのだろうかという懸念がありました。結果、内定を獲得し入社してきました。入社してからは、フランクにいろんな人たちと自分からコミュニケーションを取っていき、また、懐に入っていくのも上手いので、すぐに周りに馴染んでいったことが、とても印象に残っています。

ー なぜ、中北さんの想いが伝わりにくいと感じたのでしょうか?

足立:中北の強みでもあるのですが、相手が何を求めているかということばかりに意識が向いて、その求めている答えを返してしまうところがありました。そのため、自分の本音や本心をある意味無視して、そちらばかりに反応して発信していくため、伝えている言葉が、中北ならではというより、その場とか相手に合わせた言葉なってしまっていると思ったからですね。

ー なるほど。入社してからは、どんなことを意識してかかわりましたか?

足立:これまでお笑い芸人として活動していたということもあり、育ってきた環境が大きく違います。そのため、ビジネスパーソンとしての基礎、マナー然り、資料作成や企画提案など、ビジネスパーソンとしての基礎のスキルを、いかに身につけてもらうかに注力してかかわりました。また、ビジネスパーソンとしてのマインド面、例えば目標達成や、成果を出すということ、自分だけではなく、周りの人と協働してやっていくということについても意識してかかわりました。

コミュニケーション能力とメンタル面の強さは抜群


ー 一般の新人や中途社員にはない、お笑い芸人ならではの能力は何かありましたか?

足立:コミュニケーション能力はもう抜群ですよね。に人の懐に入っていくことや、人間関係を作っていく能力は、ものすごく長けているなと思いました。大手の人事や中小企業の経営者がお客様という中で、そういった人たちの心を掴むのが上手いなと感じることが多々ありました。特に中北は、相手が求めている言葉を敏感に察知できるところがあるため、ついつい相手が心を許してしまうところがあるんだろうなと。

また、お笑い芸人として売れようと努力してきた人なので、底力というかメンタル面の強さ、前向きに取り組んでいく姿勢というのは、一般の人より持っているなと感じました。

中北:私はお笑い芸人時代、コミュニケーション能力が高いと自分では思ったことがなかったです。お笑い芸人の中にいると、みんなコミュニケーション能力が高い人ばかりなので、会社で働くようになって初めて、自分がコミュニケーション能力が高いのかなと感じるようになりました。また、お笑い芸人というのは相手に刺さる言葉が何かってことを常に考えています。私はビジネスの場面で、お客様が何を求めているか、どんな言葉が刺さるのかということを考える力は、さらに磨かれていった気がします。

足立:あと、会社の忘年会など、飲み会の場での盛り上げ役も抜群でしたね(笑) こういうところから、会社の風土も良い方向に変わっていきましたし、普段、あまり自分から発信しないような人を上手にいじって光を当てたりと、職場の雰囲気を中北が率先して明るくしてくれたこともありました。

中北:ありがとうございます。入社して間もない頃は、自分の力の発揮どころが、飲み会の場しか見当たらず、一生懸命やらせていただきました(笑)

ー 中北さんの上司として一緒に仕事をする中で、特に印象に残っているエピソードはありますか?

足立:印象深いことはたくさんあります。その中でも、中北の印象が、ものすごく変わった出来事がありました。それは、とある案件で、研修の受講者の様子をすぐさまに観察、また洞察し、そこからその人の特徴や、強み弱みを一瞬にして言語化したことがありました。講師をしていた人も気づかない些細な受講者の変化や心の機微を捉えながら、受講者について話し出した時はとても驚きました。あの短時間で、これだけ言語化できる能力は、当時の会社の中で、一番あったのではないかと思います。私の推測ですが、芸人として観客や場を常に見て捉える力が鍛えられているのかなと思いました。

これまでの経験が、新たな価値になることを信じる


ー育成する上で難しかった点はありますか?

足立:先程もお伝えしましたが、ビジネスパーソンとしての基礎力というところが、今まで鍛えられてない部分でもありましたので、提案書作成は苦労しました。細かいことなのですが、このページではある程度ボリュームがある内容を書いてほしいのに数行しか書いていないとか、何度も差し戻しして、ラリーを繰り返したことがありました。

中北:何を書けばいいのか全くイメージができませんでした。足し算を知らないのに、掛け算を教えられているような気分でした(笑)。当時は、何について考えたらクオリティが高まるのかがわからず、ご迷惑をおかけしました。

ー 育成に根気がいる部分もあったかと思いますが、足立さんが、諦めずにかかわり続けられたのはなぜでしょうか?

足立:お客様のところに行く道中に、「本当に受注できるんですかね・・」と心配そうにしている姿や、なんとか結果を出したいと新人のようにピュアに取り組んでいたところも見てきました。営業として成長していきたい意志や想いが伝わってくるんですよね。そんな中で、受注できた時に、ものすごく喜んでいる中北を見て、もっと応援してやりたいなと思いました。もっと、成長できるし、いろんな可能性があると思ってかかわることができました。

ー お笑い芸人を受け入れる現場の方に向けて、何かメッセージはありますか?

足立:これまで育ってきた環境が大きく違うということは、まず受け入れる必要があると思います。社会人として、またビジネスパーソンとしてのベースの力を身につけてもらう点では、多少手間がかかるところがあるかもしれません。しかし、それ以上にへこたれない精神力や、一生懸命喰らいつく姿勢があること、より高みを追求していくという意識は持っているので、そこを信じてかかわっていくと良いのではないかと思います。また、コミュニケーション能力が高い人が多いでしょうから、おそらく楽しめると思います(笑)。一般の中途社員にはない喜び楽しさが、日常会話の中で得られると共に、それが文化となっていくような新しい風を吹き込んでくれると思います。

ー 転職を考えているお笑い芸人に向けてメッセージはありますか?

足立:これまでお笑い芸人としてやってきた経験というのは、普通に会社に就職した社会人にはない、キラリと光るものがあると思っています。そこに対しては自信を持って踏み出されるといいかなと思います。また、受け入れる会社の人達にとっても、それらがものすごく新鮮であると同時に、新たな価値を感じてもらえると思うので、期待して一歩踏み出してもらえると良いなと思います。

ー 本日は、お忙しい中貴重なお話をお伺いさせていただき、ありがとうございました。

 

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