お知らせ

News

インタビュー

芸歴15年目の決断。お笑い芸人からテレビ番組制作ADに転身!元ピーマンズスタンダード・吉田寛さんインタビュー

| 芸人転職,芸人採用,元芸人採用,お笑い芸人採用,芸人セカンドキャリア,お笑い芸人就職,芸人就職,お笑い芸人転職支援,お笑い芸人セカンドキャリア,芸人ネクスト

2019年2月、お笑いコンビ・ピーマンズスタンダードの解散が発表されました。

さらにピーマンズスタンダード・吉田寛さんは、芸人を辞めることを宣言。3月からテレビ番組制作会社、株式会社daInaRIに入社し、アシスタントディレクターとしての勤務をスタートさせました。

芸人として15年の経験を積んできた吉田さんは、どのように新しいキャリアを歩み始めたのでしょうか?

今回は吉田さんに、芸人を辞めた理由や就職活動、仕事を始めてからの気づきなどについて、お話を伺いました。


<吉田寛さん プロフィール>

1979年生まれ、2013年松竹芸能入社。 2005年7月に南川聡史とピーマンズスタンダードを結成し、数々のライブやテレビ番組に出演。2019年2月に解散。松竹芸能を退社し、テレビ番組の制作会社、株式会社daInaRIに入社。アシスタントディレクターとして活動中。


15年のキャリアに後悔なし!人手不足を追い風にテレビ業界へ

ーピーマンズスタンダード解散のニュースには驚きました。きっかけは何だったのでしょうか?

相方から「今後について一回ゼロから考え直したいから、解散したい」と言われたんです。その時に初めて解散について考えました。

よく考えたら僕はもう40手前だし、今年の1月には子供も生まれました。これは全部の流れが芸人を辞める方向に来ているなぁ、と感じたんですね。

ー吉田さんはコンビで何度もテレビに出ていますし、尊敬する若手芸人も多くいます。芸人を辞めるのは「もったいない」と言われたのではないでしょうか?

そうですね。でも15年やったので、後悔はないです。「自分はここまでだったか、やりきった」という気持ちです。

もちろん過去には、売れるかもしれないと思った瞬間はありました。レッドカーペット賞を2回連続で取ったときや、海外過酷ロケの出演者に選ばれたとき、システマのネタがウケたときですね。でもその後に継続して売れるということはなかったです。

ー就職先はどのように探したのですか?

今はどこも人手不足のようで、いろんな方に声をかけていただきました。配送の仕事なら紹介できるよとか、パソコンの打ち込みの仕事があるよとか。バイト先のたこ焼き屋さんですら来ていいと言ってくれたんです。

僕が学生の頃は就職氷河期だったので、その頃とは対照的に引く手数多でしたね。

ー最終的にテレビ番組の制作会社に入社しましたが、決め手は何だったのでしょうか?

社長にが5年前くらいにBSのレギュラー番組でお世話になった方だったんです。解散の挨拶に行ったら、「次の仕事決まってるのか?うちで働くか?」と言ってくれて。

僕は15年芸人をやってきたので、これからもテレビや芸能の世界に関われるといいなと思っていました。でも芸人と制作の仕事は全く別物ですし、正直この歳で雇ってもらうのは厳しいだろうと。

そんな中でたまたま声をかけていただけたので、本当に運良く入社できたという感じです。この会社も人手不足なんですね(笑)。

ー芸人を辞めた方の中には、しばらくはテレビを見たくないという方も多いです。テレビとは無関係の仕事を選ぶ選択肢もある中で、あえてテレビの世界を選んだのはなぜですか?

うーん、そうですね・・。これで今までと全然違う仕事をしたら、「テレビを諦めた」ことになるなと思って。

芸人と制作とでは、仕事も目標も変わるでしょうけど、やっぱりTVが好きなので、諦めたくないというか。テレビという大きな枠組みの中にはいたいという思いがありましたね。

「メモ取ってなくて怒られました」。芸人と社会人のギャップに苦戦

ー実際に会社に入ってみてどうでしたか?

想像の10倍は大変でしたね。まず、覚えないといけないことがめちゃくちゃ多いです。ロケの準備や、撮影許可の手順、編集、収録。その上機材のことも知らないといけない。

僕はここに来るまで自分のパソコンを持ったことが無かったんです。パソコンの操作がまだわからない上に、それを使って編集となると、もう訳がわからないですよね。

周りの方は優しいので、聞けばちゃんと教えてくれますが、2回聞くと怒られます(笑)。一回で覚えないといけないプレッシャーがすごいですね。

ーそうすると、メモを取りながら必死に覚える・・という感じなのでしょうか?

それが最初はメモを取っていなくて、えらい怒られました(笑)。

芸人ってメモ取らないんですよ。見て勉強、聞いて勉強なので。「社会人てメモしなきゃいけないんだ」ということを40歳前にして初めて知りました。

ーたしかに、養成所ではメモするなと言われますよね(笑)。他に芸人と社会人との違いで困ったことはありますか?

ミスが許されないことですね。芸人てミスが笑いになるじゃないですか。たとえば先輩に頼まれたことをすっかり忘れても、結局先輩が笑い話にしてくれたりして。

でも社会人に「笑って許して」は通用しないですね(笑)。ミスはミスという厳しさがあります。

ーどんなことを心がけて仕事をしていますか?

できるだけ一回で覚えることと、「気を遣われないようにする」ことですね。

歳が行っている分、年下のADや他社の方に気を遣われることがすごく多いんです。でも「気を遣わないでください」と言ってしまうと逆効果なので、その言葉を使わずに、いかに気を遣わないで接してもらうかということを意識しています。

あんまり「はい!はい!」とかしこまりすぎるのも変なので、ある程度くだけた感じで「わかりました〜」と言うとか。まだうまくできている実感はありませんが、探っています。

ーコミュニケーション能力を活かした、元芸人ならではの配慮ですね。

いやいや、もし気を遣われたために、僕が間違ったことをしても教えてくれなかったらまずいじゃないですか。気持ちよく教えてもらうためには、普段から気を遣われないことが大事なんです。

ー他に芸人の経験が活きていることはありますか?

まだ入社したばかりなので何とも言えないのですが、行く先々で自分を知ってもらっているなぁ、とは思います。芸人の先輩にも「今まで本当にお疲れ様。これからも何かあったらよろしくな」と声をかけていただいたりします。

実は芸人時代にものすごく広大な人脈を築いたのかも知れないのですが、自分ではまだその広大さが理解できていなくて(笑)。いつの日か役に立つ日が来るのだろうか?という感じでいますね。

僕はたまたま次の仕事が見つかっただけ。芸人ネクストを勧める理由

ー吉田さんは自力で就職しましたが、元芸人の中には定職につかずにバイト暮らしを続ける人も多いです。そのことについてどう思いますか?

そういう人は本当に多いですね。特に芸歴10年未満の方に多い気がします。芸歴が短いと、「もう少し続けていたら売れていたかもしれない」と思ってしまうのが一つの原因だと思います。

就職したい気持ちもあるけど未練もあって、複雑な気持ちなんでしょうね。苦しいと思いますよ。

ー吉田さんはなぜ気持ちを切り替えることができたのですか?

15年やったというのが大きいですね。もうやりきったと。

芸人をやっているときは、「売れるときは何歳でも売れるし!」と思ってましたけど、辞めることを考え始めた途端に「やばい、この歳になるまで、よくこんな怖いことやってたわ」と我に返りました。

芸人をしてる自分を認めたいから、やっているときは人に言われても気づかないんですね。僕もいろんな人から「人生考えなあかん」と言われてましたけど、こういうことだったのかとやっとわかりました。

ー芸人ネクストは「夢諦めたけど人生諦めてない」人の就職を支援するサービスです。このサービスの存在を知ったときにどのような感想を持ちましたか?

ものすごくいいことだと思いました。

僕はたまたま仕事が見つかったからよかったですが、そうでなければまだブラブラしていたかもしれません。まだ若いならそういう期間が少しくらいはあってもいいかもしれませんが、年を取っているなら1日でも早く仕事を見つけた方がその人のためです。

たぶん本心では就職したい気持ちがあっても、どうしたらいいかわからないんじゃないですかね。その取っ掛かりとしてこういうサービスがあることは、もし悩んでいる人がいたら伝えたいです。

ーありがとうございます。最後になりましたが、芸人を辞めて就職するか悩んでいる方へ、メッセージをお願いします!

「後悔のないように続けてから芸人を辞めましょう」と言っても、それは綺麗事で、絶対後悔はします。僕は芸人を辞めたことに後悔はありませんが、芸人を始めたことへの後悔はゼロではないです。

就職しても20代から頑張っている人には追いつけないわけですから、芸人を10年やって就職したとしたら、「あの10年はなんだったんだろう」と思ってしまいますよね。

じゃあ就職しない方がいいかというと、そうではなくて、芸人として培った力を仕事で活かせたと感じたときに「芸人をやっていてよかった」と感じるんだと思います。僕はまだそこまで至ってませんが(笑)。

芸人全般でいうと、コミュニケーション能力はすごく高いと思います。それを活かせる仕事に就ければ、芸人の経験を肯定しやすいのではなかと思いますね。

ー吉田さん、お忙しい中ありがとうございました!!

お問い合わせはこちら