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元アイドリング!!! 遠藤舞の「用意周到すぎる」セカンドキャリア。アイドルの将来を憂いた“嘆きツイート”の背景とは?

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2014年にアイドルグループ『アイドリング!!!』を卒業した遠藤舞さんは、4年間のソロ活動を経て、現在はフリーランスのボイストレーナーとして活動しています。

グループのリーダーを務めていたことからしっかり者のイメージを持たれがちですが、実は「ファンの方にも指摘されるほどの心配性」。現役時代からセカンドキャリアの準備を密かに進めていたことを明かしてくれました。

そんな遠藤さんがアイドルの将来に関して呟いた“嘆きツイート”は度々話題に。

「アイドルとか開始時年齢が低年齢化している事により勉強する時間がなくなり、本当に物知らない教養がない問題なんとかしてあげたい」

芸能界を引退した今、遠藤さんはどんな思いで新たな道を歩んでいるのでしょうか?


<遠藤舞さん プロフィール>
元アイドリング!!!リーダー。『まいぷる』の愛称で親しまれる。同グループを2014年に卒業し、avex所属のソロアーティスト活動を経て、2017年に芸能界を引退。現在はボイストレーナー及びレコーディング・ミュージシャンとして活動中。アイドルや一般人を対象に多様なジャンルの歌を教えている。


「表に出るのは好きじゃない」デビュー早々に気づいた適性

ーー遠藤さんは子どもの頃からアイドルを目指していたわけではなかったのですね。他媒体のインタビュー記事で拝見しました。

遠藤さん:そうなんです。スカウトされた事務所に面接をノリで受けに行ったら合格してしまって。その2週間後にバラエティ番組『アイドリング!!!』に出演することになりました。もともと芸能界に興味があったわけではなかったので、18歳でいきなりフジテレビに放り込まれて、それこそ何が何だかわからない状態で。

古崎:当時番組を拝見していました。楽しんでやられている様子でしたが、実際はどんな気持ちだったのでしょうか?

遠藤さん:私の中でアイドルといえば、『モー娘。』さんのような“パーフェクトガール”のイメージでした。でも私たちは、正直ルックスがそんなにいいわけではないし、歌もダンスもべらぼうに上手いわけでもない。バラエティ番組での受け答えもこれから叩き込まれる感じの、「特に何もない集団」でした。だからアイドルなんてハードルが高すぎるし、嫌だと思ってたんです。

でも私たちに求められていたのは『モー娘。』さんみたいになることではなかったんです。『アイドリング!!!』は成長見守り型番組なので、最初から完璧である必要はなく、必要なのは「与えられたものを全力でやること」でした。だから戸惑いはありましたけど、楽しんでやってこれましたね。

ーー『アイドリング!!!』の解散後、ソロ活動を経て芸能界をお辞めになりましたが、どのような思いで引退を決断されたのでしょうか?

遠藤さん:芸能界での日々は楽しかったのですが、ずっと違和感がありました。有名なタレントさんが隣に座っていたりすると、「夢かな?」と思ってしまう。“私はここにいていいんだ”という感覚をずっと持てませんでした。

そんなふうに自分の気持ちと向き合っていくうちに、実は「表に出るのがあまり好きじゃない」ことに気づいてしまって(笑)。20代半ばから引退後の計画を立てていました。

ーーボイストレーナーになろうと思ったのは、何かきっかけがあったのでしょうか?

遠藤さん:思ったより芸能活動が長引いてしまったので、一般企業への就職は難しいだろうと。そこで「自分の特技ってなんだろう?」と考えたときに、一応ソロでCDを出させてもらったので、歌かなと。あと、アイドリング!!!では下の子の面倒を見るのが好きだったので、じゃあ歌を教える仕事がいいなと思いました。

ーーアイドル時代の経験から、好きなことや得意なことを探していったのですね。

遠藤さん:そうですね。アイドル活動で得られるものって、人の名前を覚えることだったり、ステージ度胸だったり、いろいろあると思いますが、それをどう生かすかというと難しくて。私は職業として成立しそうで、かつ自分が好きなことを選びましたが、アイドルのスキルは潰しがきかないものがほとんどだと思います。

ーー引退後に向けて、具体的にどんな準備をされていたのでしょうか?

遠藤さん:私が習っていたボイストレーナーの先生がとても良い方だったので、その先生に相談して、引退後の活動についてアドバイスをもらっていました。

実際に働き始めるときには、「ずっとアイドルだったのに、いきなりボイストレーナーなんて大丈夫?」と思われないように、まずは事務所を通じてアイドルの子を紹介してもらって、ある程度実績を積んでからボイストレーナーを名乗り始めました。

あと一つ、心配なことがあって…。私、知らないうちに変なプライドを持ってしまってないかな??と(笑)。「いざ表舞台からおりたら、こんな仕事やりたくないって自分が思っちゃったらどうしよう!」と急に不安になってしまって。それで事務所に内緒で飲食のアルバイトをしてみたんですが、全然普通に働けたので安心しました(笑)。

現役時代よりも歌に熱中する日々。“職人気質”を実感

ーーボイストレーナーのお仕事ではどのような方を対象にレッスンされているのですか?

遠藤さん:生徒さんの80%はアイドル活動をしている方です。2年間で約30グループの指導に関わってきました。

ーートレーニング方法はどのように学んでいるのですか?

遠藤さん:向上意欲の高い先生は、自分が教えながら別の先生からも習ったりしているんですが、私も歌を扱う以上“人体”を極めたいと思うようになり、今は解剖学の先生のところに通っています。

振り返ってみると、今の方がよっぽど歌と真摯に接していますね。現役のときよりも練習するようになりました。生徒さんにやってもらうために新しい練習方法を試しているうちに、自分の音域が広がったこともあるぐらい(笑)、歌に熱中しています。

ーー遠藤さんは歌が本当にお好きなんですね。

遠藤さん:そうですね。ただ人前で歌うよりも、家で歌う方が好きですね(笑)。

ーー芸能界での活動は「楽しかったけど違和感があった」と仰っていました。今はいかがですか?

遠藤さん:違和感はないです! レコーディングで仮歌を入れる仕事もしているのですが、ディレクターさんの表現が抽象的なとき、例えば「5歳若返ろうか?」と言われたときに、それをどう表現するか試行錯誤するのが楽しくて。やっぱり私は、職人ぽい仕事の方が向いてるんだなと実感しました。

100%アイドル活動は危ない。“嘆きツイート”で訴えたかったこと

ーー以前遠藤さんがアイドルの将来について嘆いたツイートが共感を呼んでいました。このように思った背景について教えていただけますか?

「アイドルとか開始時年齢が低年齢化している事により勉強する時間がなくなり、本当に物知らない教養がない問題なんとかしてあげたい」

遠藤さん:アイドリング!!!で実際にそういう子が多かったんです。13歳でグループに入って、授業を休める学校に通っている子が多くて。

机に向かってする勉強がいいとは思っていません。でも、アイドルの仕事でスケジュールがいっぱいになると、脳のキャパシティがアイドル活動だけに取られて、知的探究心が薄れていってしまうんです。世の中で起こってることに対して興味が持てなかったり、読めない漢字があっても「知らなくていいや」ってスルーしちゃったり。

そうやって、若いアイドルの子たちが物を知らないまま大きくなっていくのを目の当たりにしてきました。

ーーご自身の経験から危機意識を持ったのですね。

遠藤さん:そうです。でも今のアイドルの子たちと話していると、昔と比べてしっかりしていると思います。「いつまでもこの仕事ができるわけじゃない」と言って、将来についてちゃんと考えているんです。特に23歳ぐらいでアイドルを始めた子たちは悩んでいますね。

もし私が彼女たちにアドバイスをするなら、二足のわらじ、三足のわらじで自分のやりたいことを同時並行でやってみてほしいなと思います。今はアイドルも副業が普通にできる時代ですし、アイドルだけでは将来潰しがきかなくなってしまうので。

ーーもう一つ気になったツイートがあります。遠藤さんご自身が、社会のルールを知らなくて困った経験があるのでしょうか?

「私も引退して世に放り出されて社会的ルールとかみんな普通に知ってるのに私ら知らない事が沢山あって困った。20代特殊なルート選択をしたのである専門分野に関しては詳しくなったりするけど、もっと若いうちに知りたかったよ!って事が色々あった。けど誰も教えてくれないんだよ、自分から学ばないと」

遠藤さん:実はボイストレーナーの仕事を始めたころ、友達の会社で少し働いていたんです。そのときに「議事録作って」と言われたのですが、やったこともないのに急に言われてもわかんないじゃないですか(笑)。でもできないとも言えず、ネットで雛形を調べてなんとか仕上げました。

それだけでなく、電話の出方とか些細なことも「どうやるのが正解なんだろう?」と一個一個不安になってしまって。「普通に社会経験を積んでいたら、こんなにおどおどしなくて済むんだろうな」と思うことは結構ありました。

ーーフリーになってから困ったことはありましたか?

遠藤さん:スケジュール管理を自分でやっているのですが、最初は予定をうまく組めなくて、「トイレに行く時間もない!」「ご飯も食べられない!」という日がありました(笑)。次はそうならないように、日々学んでいます。

 

引退後は人を頼って大丈夫。大切なのは「素直な気持ち」

ーー弊社の就職サービス『芸人ネクスト』についてはどう思われますか? ビジネススキルを教えつつ、次の人生を一緒に考え、就職のお手伝いをさせていただくサービスです。

遠藤さん:素晴らしいですね。仕事でわからないことって、ネットで調べたらある程度情報は出てくるかもしれませんが、情報量が多すぎて何を選択したらいいかわからないんですよね。この年で聞いたら恥ずかしいとも思ってしまいますし。だからビジネスの基礎についてちゃんと教えてくれるところがあるというのは、すごくいいと思います。

それに引退後も受け止めてくれるところがあると知っていれば、将来を必要以上に不安に思うこともありません。アイドル活動に存分に打ち込めますね。

古崎:芸能界で働いている人にとって将来の不安はつきものです。でも「辞めた後に頼れるところがある」と知るだけで安心できると思いますし、その分芸能活動にがっつり専念していただきたいと思っています。

ーー最後に、芸能界からの就職を検討している方へメッセージをお願いいたします。

遠藤さん:引退したあとは、「わからないことを素直にわからないと言える力」が大切だと思います。どんなにアイドルとして経験を積んでいても、いざ社会に出るとまだまだひよっこです。芸能界にいた方であればコミュニケーションスキルは高いと思うので、ちゃんと質問すればいっぱい教えてもらえると思います。恥ずかしがらずに周りの人に聞いてみてください。

私も議事録の書き方がわからなかったときは、誰かに聞けばよかったです(笑)。困ったときは人を頼っていいんだということを伝えたいですね。

ーー遠藤舞さん、ありがとうございました!!

(取材、文、写真・一本麻衣

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